✅【第1本目】公有地拡大推進法とは?都市の未来と公共のための土地取得制度を徹底解説【5万字・初心者〜行政職員向け】
🌱第1章:公有地拡大推進法の誕生と背景
◆1-1 「公有地」ってなに?
公有地とは、自治体・国・公共団体などが所有する土地で、以下の目的に利用されます:
◆1-2 なぜ“公有地の拡大”が必要だったのか?
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地価の高騰 → 用地取得が困難
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民間開発の急進 → 公共施設の設置が後手に回る
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公共用地が確保できず、まちの“骨格”が崩壊
1972年に「公有地拡大推進法」が制定され、公共目的のために必要な土地を計画的に取得・確保できる制度が整えられました。
⚖第2章:公有地拡大推進法の構造と仕組み
◆2-1 法律の目的と基本原則
「都市の健全な発展と国民の生活の向上を図るため、公有地の計画的取得を推進すること」(第1条)
◆2-2 対象となる土地・事業
◆2-3 取得の方法と流れ
🏛第3章:土地取引時の“届出義務”とは?
◆3-1 一定規模以上の土地取引に届出が必要
地域区分 | 面積基準 |
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都市計画区域内 | 5,000㎡以上 |
市街化区域内 | 2,000㎡以上 |
市街化調整区域 | 10,000㎡以上 |
✅民間同士の取引でも、上記を超える場合は「事前届出」が必要になります。
◆3-2 届出の流れと内容
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売主が契約締結前に市町村へ届け出
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市町村は20日以内に「買受けの意向有無」を通知
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買い受け意向がなければ通常取引へ
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意向あり → 協議のうえ売買契約(任意)
◆3-3 命令・罰則はあるの?
基本は“努力義務”ですが、正当な理由なく届出を怠った場合や虚偽があった場合は、行政指導・勧告・公表などの措置がとられることもあります。
🧩第4章:実際の公有地拡大の事例と成果
◉千葉県市川市:マンション建設予定地を保育園用地に
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近隣に待機児童多数 → 自治体が即時買受け意向を通知
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所有者と協議 → 公的価格で売買成立
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民間業者は別の敷地で代替事業を実施
◉京都府亀岡市:農地転用予定地を防災公園に転用
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過去に浸水実績あり → 市が治水・避難拠点として取得
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交渉成立後、地域住民と協働して整備
◉東京都八王子市:住宅密集地の一角を消防出張所に
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開発業者が解体を進めていた土地を、緊急取得
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市が火災リスク高い地区への出張所整備に活用
✅まとめ:公有地拡大推進法は“未来のまちの骨格”を守る法制度
土地は一度民間に渡ると、再取得が極めて困難になります。
この法律は、「必要な土地を、必要なタイミングで、公共目的に使う」ための制度的安全装置です。
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