✅【第5本目】都市計画と農地法の境界線 ― 調整区域・開発許可・都市型農業を理解して土地戦略を描け【5万字・都市計画・開発・農地運用編】 | sechs

✅【第5本目】都市計画と農地法の境界線 ― 調整区域・開発許可・都市型農業を理解して土地戦略を描け【5万字・都市計画・開発・農地運用編】

✅【第5本目】都市計画と農地法の境界線 ― 調整区域・開発許可・都市型農業を理解して土地戦略を描け【5万字・都市計画・開発・農地運用編】


🗺第1章:農地と都市計画 ― 交わらないようで密接な関係


◆1-1 都市計画法と農地法は別々の法律

法律名 管轄・目的 関連項目
都市計画法 市街地の形成 用途地域区域区分/開発許可など
農地法 農地の保護と活用 権利移転・転用・農地指定の維持など

◆1-2 都市計画区域の3分類と農地の扱い

区域 特徴 農地への影響
市街化区域 建物建てやすい 転用届出だけでOK(例外あり)
市街化調整区域 開発制限区域 原則転用不可、許可が極めて厳しい
非線引き区域 地方に多い 条件により可否分かれる

◆1-3 なぜ農地は市街化調整区域に多いのか?

  • 市街化区域から意図的に“守られた土地”として線引きされた結果

  • 「農地+緑地+インフラ予備地」として都市の“緩衝地帯”の役割を果たす


🧱第2章:調整区域の農地でできる/できないこと


◆2-1 建物が建てられない=常識じゃない!

行為 可否 備考
農業用施設(ハウスなど) 農地転用許可が必要
一般住宅 原則不可 ただし「既存宅地制度」や特例あり
倉庫・資材置場 基本不可 農振除外+転用+開発許可の3段構え
太陽光発電 条件付き可 営農型なら可能、非営農型は不可が多い

◆2-2 市街化調整区域農地の“転用戦略”

  • 青地農地 → 農振除外申請

  • 除外成功 → 農地法4条または5条申請(転用)

  • 転用許可後 → 都市計画法29条の開発許可取得
    → この3ステップを丁寧に進めれば、合法的に“土地活用”が可能!


◆2-3 市街化区域との違いを理解しておこう

内容 市街化区域 調整区域
建築の自由度 高い 極めて低い
転用の難易度 届出で完了 許可ハードル高い
不動産価値 高騰しやすい 保守的な評価

🌾第3章:農地と開発許可の複雑な関係


◆3-1 農地を転用しても「すぐに建てられる」とは限らない

  • 農地法は“農地の使い道の許可”

  • 都市計画法は“構造物の配置・インフラ整備の許可”
    → 二重に許可が必要となるケースが多い!


◆3-2 都市計画法29条の開発許可とは?

対象 内容
1,000㎡以上の宅地造成 都市計画法の開発行為に該当
道路・下水などインフラ整備 開発許可要件に含まれる
建築確認と連動 転用許可+開発許可が揃わないと着工できない

◆3-3 逆に小規模開発は「特例」が使えることも

  • 500㎡以下/既存宅地/農家住宅などは要件次第で開発許可不要

  • 市区町村ごとの運用ルールで大きく左右されるため事前相談必須


🌿第4章:農地保全と再生の最前線


◆4-1 開発一辺倒はもう古い ―「守る農地」政策の現在

政策 内容
多面的機能支払制度 地域で農地を守る共同作業への助成
農地中間管理機構(農地バンク) 離農地の有効利用+担い手への集積
都市農業振興基本法 市街化区域内でも農業継続を支援する法的枠組み

◆4-2 地域で“農地が消えたら”起こること

  • 気温上昇 → 都市ヒートアイランド現象

  • 雨水排水が悪化 → 浸水・水害の発生頻度UP

  • 高齢者の“見守り環境”が消失 → 地域福祉低下


◆4-3 新しい農地の役割とは?

  • 災害時の「避難・ヘリポート・物資備蓄スペース」

  • 都市住民の「農的体験/福祉農園」

  • 学校との連携による「体験学習/地産地消教育」


🧭第5章:都市×農業のハイブリッド戦略へ


◆5-1 都市型農業の台頭

  • 駅近農地で高付加価値農産物(いちご/ハーブ/花卉)

  • 都市住民向けの直売所・マルシェ・体験農園

  • 「食育」「福祉」「教育」を農地が担う新しい構造


◆5-2 不動産×農業=次世代まちづくり

パターン
分譲住宅+農園付き 都市住民の農業関心に応える新規開発
団地跡地×高齢者農園 認知症予防・地域交流の場としての畑
商業施設+屋上農園 買い物+食育体験/都市型複合施設モデル

◆5-3 農地は“土地資産”としての再評価へ

  • 守られるだけの農地 → 活かされる農地資産

  • 都市の余白としての農地 → 都市の核としての農地


✅まとめ:農地法と都市計画を両輪で理解することが“土地活用の最上戦略”


農地法は“守るための壁”でもあり、“活かすための扉”でもある。
都市計画法とセットで理解することで、不動産・農業・行政・まちづくり全てに貢献できる土地戦略が見えてくる。

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