✅【第1本目】宅地造成及び特定盛土等規制法とは?盛土災害を防ぐ新時代の土地規制を完全解説【5万字・法制度と背景編】
🏔第1章:なぜ「盛土規制法」が生まれたのか?
◆1-1 2021年 熱海土石流災害が転機に
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民間業者による不要残土の無許可盛土が豪雨で崩落
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26名死亡・多くの家屋が流出
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旧宅地造成等規制法では規制対象外の土地だった…
◆1-2 旧法の限界と新法制定へ
比較項目 | 旧:宅地造成等規制法 | 新:盛土規制法 |
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規制範囲 | 宅地造成目的の区域指定地のみ | 全国すべての土地が対象に(災害防止目的) |
対象行為 | 高さ・面積により制限 | 面積に関わらず一定規模以上はすべて対象 |
規制対象 | 宅地造成のみ | 太陽光・残土処分・農地転用も含む |
◆1-3 2023年5月施行「盛土等規制法」とは?
正式名称:「宅地造成及び特定盛土等規制法」
目的:崩壊災害から国民の生命・財産を守るため、全国一律で盛土等を包括的に規制する法律
🧱第2章:盛土規制法の構造と特徴
◆2-1 法律の対象行為
対象行為 | 具体例 |
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盛土(造成) | 宅地造成/工業団地整備/ゴルフ場造成 |
土砂搬入 | 建設残土・開発系不要土の処分・仮置き |
切土+搬出 | 谷埋め盛土/スキー場造成/ソーラー敷地整備 |
◆2-2 特定盛土等とは?
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安定勾配・排水計画・造成高などが安全基準を満たさない造成土
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高さ5m or 面積1,000㎡を超える造成=原則規制対象
◆2-3 新法で全国が“規制区域”になった理由
🔍第3章:規制の流れと罰則規定
◆3-1 行為前に「許可」か「届出」か?
面積・内容 | 対応 |
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高さ5m以上、1,000㎡以上 | 原則「許可」制 |
上記未満 | 「届出」制(内容によっては指導あり) |
◆3-2 行為の種類と対応区分
行為 | 許可・届出・対象外 |
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宅地造成 | ✅許可 |
残土搬入のみ | ✅許可 or 届出(量による) |
自然堆積 | ❌対象外(要審査) |
ソーラー設置での造成 | ✅原則許可 |
◆3-3 違反時の罰則
違反内容 | 罰則 |
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無許可造成 | 最大3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人は1億円以下) |
是正命令違反 | 公表+強制撤去命令/代執行 |
虚偽届出 | 100万円以下の過料 |
🌍第4章:誰が影響を受けるのか?法適用の当事者像
◆4-1 開発事業者
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宅地造成・ゴルフ場・太陽光・リゾート開発 → 全て対象
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許可前の工事着工で全工事中断のリスク
◆4-2 土砂搬入業者
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産廃業者・建設業者が所有地に残土を積む行為 → 許可必要
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違反で県単位の営業停止処分になる例も
◆4-3 地権者・不動産業者
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他人による盛土が地権者責任にされることも
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売買契約に「宅地造成等規制法に基づく申告・責任条項」追加が主流
✅まとめ:盛土規制法は「新しい時代の土地法」
過去の法律は「宅地を売るための造成」を想定していた。
新法は「国土を守るための規制」へとパラダイムシフトしている。
命を守る=土地の積み方から変える。
その起点が、この「宅地造成及び特定盛土等規制法」である。
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