【森林法の実務応用】山林売買・再生可能エネルギー・開発事業と森林法の交差点を完全解説 | sechs

【森林法の実務応用】山林売買・再生可能エネルギー・開発事業と森林法の交差点を完全解説

【森林法の実務応用】山林売買・再生可能エネルギー・開発事業と森林法の交差点を完全解説(第2本/全3本)


第1章:森林法と現代の土地利用との関係性

◆ 森林法の現代的意義とは?

昭和中期の災害防止目的から始まった森林法は、現在では以下のような役割を担っています:

◆ 主要法制度との関係

関連法令 主な関係性
自然公園法 国定・県立公園内の森林に重複適用あり
土砂災害防止法 森林が土砂災害警戒区域に含まれる場合あり
再エネ特措法 ソーラー発電用地として森林が転用対象となる

第2章:ソーラー・再エネ開発と森林法

◆ 太陽光発電と林地開発許可

  • 森林を開発する際には、**林地開発許可(森林法10条の2)**が必須

  • 環境影響評価(環境アセスメント)が求められることもある

  • 保安林の場合は原則転用不可

◆ 許可取得のポイント

  • 1ha未満でも自治体によっては開発規制あり(条例上の制限)

  • 排水・斜面安定・保全緑地の確保が審査対象

  • 地元住民への説明会が求められる自治体もある


第3章:森林の登記と所有管理

◆ 登記名義人不明の森林問題

  • 森林所有者の高齢化・相続未登記により、「所有者不明森林」が全国に多数存在

  • 放置すると開発・活用が不可能

◆ 解決策と法改正動向

  • 令和6年の民法不動産登記法改正により、相続登記の義務化が開始

  • 所有者不明土地の活用に向けた特措法も森林に適用予定


第4章:山林売買と取引実務

◆ 山林の売買の流れ

  1. 土地調査(用途・法規制・境界)

  2. 所有者確認と森林簿の取得

  3. 売買契約・登記手続き

  4. 所有者変更届の提出(森林法第10条の7)

◆ 注意すべき実務上の落とし穴

  • 面積不明・地積測量図の不存在

  • 名義人死亡による未登記

  • 保安林や開発規制区域の見落とし


第5章:保安林の種類と実務例

◆ 開発できる保安林もある?

原則転用禁止だが、例外的に**公益性のある事業(送電線・道路・水道)**は許可される場合あり。

◆ 許可申請に必要な書類

書類名 内容
林地開発許可申請 開発の概要と理由
開発区域の図面 等高線・断面図付き
保安林解除願書 指定解除申請が必要なケース

第6章:森林整備の具体的手法

◆ 間伐と皆伐の違い

区分 内容 特徴
間伐 一部の木を間引く 森林の成長促進・光量確保
皆伐 全ての木を伐採 土壌流出リスク高・要植林

◆ 森林組合との連携

  • 補助金の申請は森林組合を通じて行うことが多い

  • 森林経営計画の策定支援、施業の受託なども可能


第7章:森林の土地評価と税制の実際

◆ 固定資産税の評価

  • 利用困難な傾斜地・搬出不可の山林は大幅な評価減が可能

  • 保安林は特例対象として非課税になるケースも

◆ 譲渡時の税制特例

  • 5年以上保有した山林の譲渡は「山林所得」として分離課税

  • 林業経営体が取得する場合は「特定事業資産買換え特例」が利用可


第8章:災害防止と森林の役割

◆ 山地災害防止の主役=森林

  • 森林があることで「表面流出の抑制」「土砂移動の減少」が期待できる

  • 森林法の精神=「守って活かす災害対策」

◆ 自治体と連携した防災林整備


第9章:森林法の課題と今後の方向性

◆ 課題

  • 森林所有者の高齢化と管理放棄

  • 開発圧力と環境保全のバランス

  • 地域ごとの法運用のバラツキ

◆ 今後の動向

  • 森林所有情報の一元化(地籍整備)

  • 自治体による森林バンク制度

  • カーボンクレジット事業との連携推進


第10章:まとめ|森林法は未来の土地活用の起点

森林法を制約として捉えるのではなく、

  • 「ルールを守って得する仕組み」

  • 補助金・税制・地域活性化との結節点」

  • 「再エネ・観光・資産形成の起点」

として活用することが、これからの土地戦略において非常に重要です。

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