【森林法とは何か?】山林売買・開発・規制・保護制度を徹底解説 | sechs

【森林法とは何か?】山林売買・開発・規制・保護制度を徹底解説

【森林法とは何か?】山林売買・開発・規制・保護制度を徹底解説(第1本/全3本)


第1章:森林法の概要と目的

◆ 森林法とは?

  • 正式名称:森林法(昭和26年法律第249号)

  • 所管官庁林野庁農林水産省

  • 目的

    • 森林の保全と整備

    • 国土保全、水源涵養、国民生活の安定

    • 林業の持続的発展

◆ 森林法がカバーする範囲

分野 内容
保安林制度 土砂災害・水害防止のための規制
森林計画制度 国・都道府県が管理計画を策定
開発規制 森林の伐採や転用に関する制限
民有林の管理 個人所有林にも義務あり

第2章:森林の区分と分類

◆ 森林の3分類

  1. 国有林(国が所有)

  2. 民有林(個人・法人が所有)

  3. 公有林(市町村等が所有)

◆ 民有林の中の区分

  • 保安林:災害防止等の目的で制限付き(森林法第25条)

  • 普通林:比較的自由に利用できる森林(ただし伐採は届出制)


第3章:森林法の重要制度①「保安林制度」

◆ 保安林とは?

災害防止・水資源保護等のため、国が指定する森林。原則として伐採・開発不可。

◆ 種類と指定理由

種類 主な目的
水源かん養保安林 河川流量の安定化
土砂流出防備保安林 土砂崩れの防止
防風保安林 強風からの農地・住宅地保護
防雪保安林 吹雪・雪崩の制御

◆ 規制内容

  • 無断伐採禁止

  • 転用(宅地・農地・ソーラー設置等)には許可が必要

  • 植林義務あり(伐採後の再造林)


第4章:森林法の重要制度②「森林計画制度」

◆ 森林計画の体系

  • 国 → 全国森林計画(10年単位)

  • 都道府県 → 都道府県森林計画(5年単位)

  • 民間所有者 → 市町村森林整備計画(個別指導)

◆ 森林所有者の義務

  • 森林簿の提出

  • 所有者異動の届出(売買や相続の後)

  • 森林整備の協力義務(補助金の申請含む)


第5章:森林の売買と相続における注意点

◆ 所有者変更届出制度

  • 期限:取得から90日以内

  • 提出先:市町村長

  • 必要書類:登記簿・売買契約書など

提出を怠ると10万円以下の過料あり。

◆ 相続時の注意

  • 登記名義人不明森林が全国で増加中(放置不可)

  • 固定資産税評価が困難なケースあり

  • 合筆・分筆時に林地台帳の確認が必須


第6章:森林の伐採と開発規制

◆ 伐採届出制度

  • 面積に関わらず伐採前に市町村へ「伐採及び伐採後の造林の届出」が必要

  • 伐採後は一定期間内に植林しなければならない(再造林義務)

◆ 開発(転用)規制

  • 宅建設・ソーラー発電・資材置場などへの転用には都道府県知事の「林地開発許可」が必要(森林法第10条の2)

要件 内容
面積要件 1ha以上の開発は原則許可制(都道府県により0.5haなども)
土砂流出対策 必須(排水計画・斜面安定対策)
自然環境配慮 環境アセスメントの必要あり

第7章:違反時の罰則と行政措置

  • 無断伐採:3年以下の懲役または100万円以下の罰金(森林法第199条)

  • 転用許可違反:原状回復命令(従わないと代執行)

  • 所有者届出違反:過料10万円以下


第8章:補助制度・税制支援

◆ 森林整備事業への補助

  • 森林経営計画を提出した所有者に対し、伐採・間伐・植林費用を国や自治体が補助

  • 補助率:1/2〜2/3程度(森林組合経由が主流)

◆ 税制面の特例


第9章:民間事業者の活用事例

  • 木材価格の高騰により山林売買が活発化

  • ソーラー開発での林地取得

  • キャンプ場・ロッジ開発で森林利活用

※ただし、許可申請や環境配慮が不可欠


第10章:まとめ|森林法は「守る法律」であり「活かす法律」

森林法は一見、規制の多い“制限の法律”のように見えますが、実際には、

  • 土地の価値を下げずに守る

  • 国の補助金を受けられる

  • 税制優遇を受けつつ利活用できる

という観点で「土地活用における戦略法」としても非常に重要です。

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