✅【第1本目】農地法とは?農地の保護と活用を両立するための基礎知識と構造【5万字・入門完全ガイド】
🌱第1章:農地法とはどんな法律?
◆1-1 農地とは?
「農地」とは、耕作の目的に供される土地(農地法第2条)を指します。
種類 | 例 | 注意点 |
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田 | 稲作に使用 | 水管理が必要 |
畑 | 野菜・果樹 | 果樹園も含む |
休耕地 | 使われていない農地 | 原則、農地として扱う |
採草放牧地 | 草を刈る・放牧する土地 | 一部は農用地に分類 |
◆1-2 農地法が必要な理由
◆1-3 制度の3本柱(許可が必要な行為)
条文 | 内容 |
---|---|
第3条 | 農地の権利移転(売買・貸借)に許可が必要 |
第4条 | 自分の農地を他の用途に転用するには許可が必要 |
第5条 | 他人の農地を買って転用するにも許可が必要 |
🧭第2章:農地の種類と分類
◆2-1 市街化区域内外で異なる農地の分類
区分 | 特徴 | 主な規制 |
---|---|---|
農用地区域内農地 | 市街化調整区域などに多い | 原則転用不可 |
農振農用地(青地) | 最も保護される農地 | 法的制限が厳しい |
農振除外地(白地) | 転用可能性あり | 計画外なら調整可能 |
市街化区域農地 | 開発圧力が高い | 4条・5条の許可制適用外で届出のみ(例外多数) |
◆2-2 特定農地・優良農地とは?
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優良農地:高収穫・灌漑良好・地力が高い
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集団的農地:農業振興地域に連なる面積のある農地群
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→ 特に転用に対し慎重な対応が求められる
📜第3章:農地法の歴史と改正の流れ
◆3-1 戦後農地改革と農地法の誕生(1946〜1952年)
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小作人保護・地主制度の解体 → 自作農創設
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大規模農地所有を制限し、農地の分散を進めた背景
◆3-2 高度成長期の地価上昇と転用問題(1960〜80年代)
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地価高騰→農地の“偽装転用”が多発
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農業従事実態のない“名義貸し”問題へ対処
◆3-3 近年の動き:農地集積・法人化支援へ転換
🛠第4章:農地法の基本用語と定義
用語 | 意味 |
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耕作者 | 実際に農業を行う人(契約上の所有者でなくても可) |
農業委員会 | 各市町村にある農地利用の許認可機関 |
権利移転 | 所有権・地上権・賃借権などの設定や移転 |
転用 | 農地以外の利用に変更すること(駐車場、住宅など) |
🧑⚖️第5章:違反したらどうなる?罰則・行政対応
◆5-1 無許可転用のリスク
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原状回復命令(撤去・耕作地復元)
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違反事実の公表
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建築確認や金融機関の融資ストップ
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罰則:3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人は1億円以下も)
◆5-2 誤解されがちな“軽視ポイント”
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「どうせ許可取れるでしょ?」→ 許可下りないケースもある
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「住宅ついてる農地は対象外?」→ 農地部分は許可対象
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「田舎だしバレないよね?」→ 農業委員会は現地パトロール実施中
✅まとめ:農地法は“農地を守りながら活かすための基本法”
農地を勝手に売ったり使ったりできない。
でも、だからこそ農業が守られてきた。
現代は農地法を「守る」だけでなく「活かす」フェーズへ──
この法律を知っておくことで、
農業従事者・不動産関係者・行政職員・相続人すべてにとっての安心と戦略のベースになります。
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