📗不動産実務で活きる生産緑地法の知識
売買・相続・解除・税金・開発のリアルを徹底解説!
✅はじめに|“農地”でも“宅地”でもない、特殊な土地を扱うには?
生産緑地は一見するとただの畑、でも中身は――
✅ 固定資産税の評価が異常に安い
✅ 宅地開発が原則禁止
✅ 市による買い取り制度あり
✅ 相続対策に使える
✅ 条件を満たせば解除できる
つまり、農地×都市計画×不動産×税務が絡む複雑な存在です。
この記事では、生産緑地に関わる実務上のポイントを、宅建士・不動産営業・開発業者・税理士などの視点から、超実践的に解説していきます。
🧱1. 生産緑地の売買・仲介時の注意点
▶重要事項説明での必須ポイント
不動産売買の現場では、次のような注意が必要です:
▶売却できるのか?
✔ できます。
ただし「農地としてのまま」売るのが原則。
宅地として転用して売るには、生産緑地の解除が必要です。
🔓2. 生産緑地の解除条件と手続き
以下の条件を満たせば、市への買取申し出を行い、指定解除が可能になります。
▶主な解除条件
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指定から30年が経過した場合(1992年指定→2022年以降)
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所有者が死亡・高齢化等で営農継続が困難になった場合
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新たに「特定生産緑地」指定を受けない場合
▶解除の流れ
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市へ買取申し出
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市が買い取らない旨の通知を出す(原則3ヶ月以内)
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公示後に指定解除 → 自由に転用・売却が可能に!
🧾3. 税務と評価の実務知識(相続・固定資産税)
▶固定資産税の計算イメージ
土地 | 評価額 | 年間税額(目安) |
---|---|---|
通常宅地 | 5,000万円 | 約85万円 |
生産緑地 | 500万円 | 約8万円 |
※宅地評価が農地評価になるため、最大10分の1以下の課税となるケースも!
▶相続時の特例
-
【小規模宅地特例】:330㎡まで80%減額
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【農地等の納税猶予】:農業継続を条件に相続税猶予
ただし、いずれも**「営農継続」「10年以上保有」などの条件あり**。
途中で農業をやめると、猶予分の相続税が一括納付になるリスクあり。
🏗️4. 指定解除後の開発可能性と容積率の考え方
▶解除後=宅地化OKではない!
生産緑地を解除しても、その土地が以下の制限を受けていれば、思うような開発はできません。
🏛️5. 市町村の買い取り制度とは?
市町村は、生産緑地指定が解除される前に「買い取ります」と手を挙げることができます。
▶現実には…ほとんどの市が買い取らない
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財源がない
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活用予定が立たない
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管理負担が重い
→ 結果的に「市が買い取らず、民間市場に出回る」ケースが9割以上。
🧠6. 実務でよくあるQ&A・トラブル
Q:売主が「生産緑地のまま売ります」と言ってる。買主は何に注意する?
A:宅地転用できません。営農継続が前提なので、実質的に農家か農業法人に限られます。
Q:指定解除された土地、売ったら課税される?
A:宅地として売却すれば、譲渡所得に応じて課税(※特例なし)。
農地→宅地化で価値が数倍になっているケースでは、高額課税もあり得るので注意。
Q:相続で生産緑地をもらったけど、農業やらない。どうする?
A:特定生産緑地への再指定は不可。
市に買取申し出→解除→売却 or 自分で転用して利用へ。
✅まとめ|生産緑地は“活用”する土地でもある
生産緑地=開発できない土地=面倒、というイメージを持たれがちですが、
「正しく知れば、節税・資産形成・地域貢献につながる“戦略的な土地”」
です。
農業か、宅地化か、維持か、売却か――
所有者・相続人・開発業者すべてが、適切な知識とタイミングで動くことが鍵になります。
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