【不動産のプロが徹底解説】土地境界確定・筆界特定制度・越境・道路後退・道路種別とは?初心者にもわかりやすく解説!
🏠 はじめに
土地トラブルの多くは“境界”や“道路”に関する知識不足が原因です。
今回は、土地取引・建築・管理の現場で押さえておきたい「土地境界確定」「筆界特定制度」「越境」「道路後退(セットバック)」「道路種別」について、実例と共に解説します。
第1章:土地境界確定とは?
🔹 定義
土地境界確定とは、隣接地の所有者と合意し、土地の境界(筆界や民法上の境界)を確定させる手続きのことです。
🧾 方法
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民間の土地家屋調査士による確定測量
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官民査定(道路境界確定)
🗺 実例(東京都杉並区)
建売用地の境界確定作業で隣地所有者が応じず、測量に半年かかったため、販売開始が遅れた。
✔️ メリット
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境界トラブル予防
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販売・再建築時に有利
❌ デメリット
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測量費用(30〜100万円以上)と時間がかかる
第2章:筆界特定制度とは?
🔹 定義
法務局に申請し、登記官が筆界(登記上の境界)を特定する制度。隣接者との合意がなくても手続き可能。
📘 特徴
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民事的境界紛争の解決ではない
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結果は登記簿に反映されるわけではないが、証拠能力あり
🗺 実例(神奈川県相模原市)
越境トラブルで協議不調となり、筆界特定を申し立て。結果に基づき調停が進展した。
✔️ メリット
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境界の公的な判断材料になる
❌ デメリット
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申請から結果まで半年〜1年かかる場合も
第3章:越境とは?
🔹 定義
建物や塀・樹木などが、他人の土地・空間に意図せず入り込んでいる状態を「越境」といいます。
⚠️ 越境の種類
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建物の屋根・庇・雨樋の越境
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塀・擁壁・樹木の越境
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配管(上下水・ガス)の越境
🗺 実例(千葉県船橋市)
中古住宅の売買時に隣地への越境が発覚。是正工事に100万円以上かかり、契約解除に至った。
✔️ メリット
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越境物を撤去することで土地評価が改善する場合あり
❌ デメリット
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売買・再建築・登記変更に大きく影響
第4章:道路後退(セットバック)とは?
🔹 定義
道路幅員が4m未満の位置指定道路や42条2項道路に接している場合、道路中心から2m下がったラインを敷地境界と見なし、建物を後退させる必要がある制度。
📏 セットバック対象
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敷地の一部が道路部分と見なされ、建築面積・容積率の算定から除外される
🗺 実例(大阪市東淀川区)
再建築時、セットバック部分を含めた敷地面積で設計したため、容積率オーバーとなり、設計やり直しに。
✔️ メリット
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道路拡幅・安全性向上に寄与
❌ デメリット
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実質的な土地利用面積が減少する
第5章:道路種別とは?
🔹 定義
建築基準法上の「道路」には複数の種別があり、どの種別の道路に接しているかで建築可否が大きく変わります。
🛣 主な道路種別
種別 | 内容 |
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42条1項1号道路 | 公道(幅員4m以上) |
42条1項5号道路 | 位置指定道路(私道) |
42条2項道路 | 幅員4m未満の既存道路 |
🗺 実例(愛知県名古屋市)
位置指定道路が廃止扱いになっていたため、建築不可と判断され計画変更を余儀なくされた。
✔️ メリット
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種別を把握すればリスクの高い土地を避けられる
❌ デメリット
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一見「道路」に見えても建築基準法上は対象外のこともある
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